布の循環量を増やし、リユース品を活用する人を増やすために取り組む「めぐる布市」出口を広げるプロジェクトの3年目。今回ご紹介するのは、「HIKARI」(横浜市港北区)さんの活用事例です。
「HIKARI」は、地域活動支援センターとして、精神的な障がいや心の病を抱える方達の社会参加や地域活動を支援しています。市営地下鉄ブルーライン・新羽駅、東急東横線・大倉山駅から徒歩15分の場所に拠点があります。ここを創作活動の場として、刺繍や刺し子の作品制作をおこなっています。
今回、職員の山田さん、大井さんのお二人に話をお聞きしました。

HIKARIでは、刺繍のバッグなどの作品や個人の作品づくりのために、手芸用品を日常的に使っています。作品を販売する際には、なるべく買い求め安い価格を設定しているため、資材にはあまり予算をかけられないのが実情だそうです。「なるべくコストを抑えることで、利用者の方が受け取る工賃に回していくことができます」と山田さん。
もともと山田さんはめぐる布市をご存知で、お買い物もしたことがあったのだそう。制作活動の資材に活用したいと出口プロジェクトに応募し、刺繍に使いやすいシンプルな無地の布、柄のハギレ、糸、ボビン、バイヤステープ、毛糸、編み針など、多様な品々を資材として受け取りました。

「シンプルな無地の布地は刺繍に使いやすくてありがたかったです。ナチュラルな落ち着いたものを選びがちなので、普段は選ばないようなビビットな色合いの生地も譲っていただき、カラフルが好きな方に喜ばれました。好みによらずに布を選べるのはうれしいですし、作品の幅が広がりました」とお二人は話してくださいました。


パッチワークにしたり、バッグの裏地にしたりと、生地はさまざまな形で活用しているため、小さなシミがあったとしても、しみのないところを切って使っていただいています。また、糸の種類が増えることで、布地とステッチの色を合わせたり細かい部分までこだわった作品づくりをすることができるようになったと言います。「購入するとお値段のする資材も、どなたかが使用されなくてめぐる布市さんを通じてHIKARIにめぐってきて、お受け取りすることができて感謝しています」
今回の資材の提供を受け、思い切って練習ができたり、試作ができたりと、普段はできないようなことにもチャレンジできたそうです。


今回、手仕事の温かみと作り手の感性を生かした刺繍作品をたくさん見せていただきました。地域のバザーや地域ケアプラザでの販売会、横浜市民ギャラリーあざみ野でのフェローマルシェなどに出店しているので、そうした場で作品を手にとっていただくことができます。また、手作りサイトのminneでも、商品を販売しているそうです。大倉山の喫茶ぽるくでは、「my favorite cafe」をテーマに作品展を開催し、おしゃれでユーモラスな刺繍をほどこした作品を展示しました。

こちらは、利用者さんがノートに書き留めた詩やイラストをバッグに刺繍した作品です。出口プロジェクトの生地で制作したエコバッグに、ひと針ひと針、詩とイラストを刺繍で表現しています。「普段は選ばないかわいい色の布を使えてうれしかったです」と話してくださいました。

味わい深いネコの刺繍のバッグや色合わせに惹かれるパッチワークや刺し子の作品など、眺めているだけで、心がほかほかとしてくるのを感じます。
これからの創作活動についてお聞きすると「みなさんのやりたいことやアイデアを楽しく形にしていけたらいいですね。これからも提供してくださった資材を大切に活用していきたいと思っています」と山田さんと大井さんは話してくださいました。
めぐる布市に寄せられた手芸用品が、工房を飛び出し、大倉山のHIKARIのみなさんの元へと旅立ちました。職員さんや作り手の方のお話を聞いて、大切に使われた様子がよく伝わってきました。眠っていた布たちに新たな命が吹き込まれ、布や糸たちも喜んでいるように見えました。これからの創作活動も応援しています。
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HIKARI
横浜市港北区大倉山7-1-3
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めぐる布市出口を広げるプロジェクト2025
〈お問合せ〉
認定特定非営利活動法人 森ノオト
ファクトリー事業部(担当:齋藤)
【この活動は、地球環境基金の助成を受けています】
