布の循環量を増やし、リユース品を活用する人を増やすために取り組む「めぐる布市」出口を広げるプロジェクトの3年目。今回ご紹介するのは、「理科クラブ」さんの活用事例です。
理科クラブは、横浜市港北区と都筑区で小学生向けに開催されている理科教室です。理科のおもしろさ、ものごとを深く考える楽しさを大切に活動されているという理科クラブ代表の西沢さんに話を聞きに、2025年9月から新拠点に移ったという大倉山教室を訪れました。


大倉山教室は、足を踏み入れた瞬間学校の理科室を思い出させる雰囲気。それは部屋の中心に据えられた机と椅子の影響が大きいように思いました。子どもたちが机を囲んでわくわくしながら参加している様子が目に浮かびます。席に着くと、入り口の脇にある棚が目に入りました。棚には石の標本が所狭しと並んでいます。
ここに置かれている石は、教室に通う子どもたちが理科クラブで使うノートを1冊書き終えるごとに好きなものをひとつ選べる仕組みになっています。


今回、理科クラブが「出口を広げるプロジェクト」に申し込むことになったきっかけは、建築内装材メーカー・南海プライウッド株式会社のショールームを西沢さんが見学した際に、「製造過程で生まれる素材を、ものづくりや学びの場でも活かせないか」と相談したことでした。
その素材は「ファルカタ材」と呼ばれ、植林から成木になるまでの成長が非常に早く、成長の過程で二酸化炭素を吸収することから、環境に配慮した素材として知られています。
「いくら環境にいい素材とはいえ、余った部分を捨ててしまったらそれは無駄なので、もうちょっと有効活用したいよね」と感じた西沢さん。素材をどう使うかを考える中で、釘を打って糸をかけていく「糸かけ曼荼羅」のアイデアが生まれました。
実際に実物を見せてもらうと、多様な色を使った曼荼羅模様がとても素敵でした。


この「糸かけ曼荼羅」は、ただ見た目が綺麗なだけではなく、子どもたちに釘を打つ練習をしてもらえることに加え、糸を「素数」でかけていくということがポイントだそうです。
3本ごとに糸をかけていくのか、5本ごとにかけていくのかによって模様が変わり、「素数ってなに?」という話にも触れていくところにサイエンスの要素があり、だからこそ理科クラブで行っているということでした。

そして、せっかくなら土台の板だけでなく、糸かけ曼荼羅で使う糸もリユースのものが使えないかと思った時に、知人である三坂さんが代表を務めるNPO法人Sharing Caring Cultureがめぐる布市・出口を広げるプロジェクトに参加されていることを知り、自身も申し込んでみたんだとか。
今では、出口を広げるプロジェクトで届いた糸に加え、周りの友人などが家にあるちょっとした量の糸を持ってきてくれることもあるそうです。
「ちょっと残っている糸というのはどの家庭にもけっこうあって、めぐる布市に寄付するほどではないような少量の糸を理科クラブに来るついでにママたちが持ってきてくれるんだよね」という通り、糸かけ曼荼羅を中心としてリユースのいい流れが生まれています。

昨年夏頃から試行錯誤しつつ進めていた「糸かけ曼荼羅」は、少人数でのトライアル実施を経て、昨年12月にはコズミックジュニア(民間学童保育)で約80名の児童を対象にお正月飾り製作としてイベントを開催しました。
今年度中はこんな形で何度かイベントを実施し、来年度以降は横浜以外の地域でも展開していこうと考えているとのことです。

この糸かけ曼荼羅の取り組みは、来年度から横浜市の環境教育プログラムである「ヨコハマ・エコ・スクール(YES)」に採用されることが決まっています。これに採用されていると、横浜市内の全学校・学童にパンフレットが配布され、出前講座を受けたいと思った団体から申し込みが寄せられる仕組みです。
既に理科クラブでは海の環境(磯焼け・温暖化)やリサイクル(プラスチック・金属)について考えるワークショップ(ウニランプ作り、基板キーホルダー作り)を環境出前講座として実施していますが、資源の循環を考えるワークショップとして選択肢が増える形になります。
西沢さんのものごとへの取り組み方を見ていると、少人数でのトライアルから始め、段階的に規模を広げていくという丁寧なプロセスがありました。また、イベントを実施する際も、あえて広報よこはまにしか告知記事を掲載せず、広報紙のみの告知でどれぐらいの人が集められるかのトライアルを行うこともあるといいます。そうすることで、横浜市以外の地域でイベントを実施する際、地域の広報紙でどれぐらい人が集められるかが予測できるとのことでした。
身近な場で試行錯誤を重ねながら形にしていく姿はまるで実験に取り組んでいるようで、たくさんの子どもたちと一緒に実験・観察を行っている理科クラブらしい姿だなと感じました。
めぐる布市・出口を広げるプロジェクトへの参加も、西沢さんのトライアルのひとつ。めぐる布市と関わることで、糸かけ曼荼羅が資源の循環に貢献していることが周りに伝わりやすくなりました。
これからも、子どもたちが「おもしろい!」を見つけるきっかけとなるプログラムを展開していく理科クラブの活躍に期待しています。
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理科クラブ
住所:大倉山教室
横浜市港北区大倉山2-4-10
センター北教室(コズミックジュニア:学童保育)
横浜市都筑区中央1-27-6 イストアール2F
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めぐる布市出口を広げるプロジェクト2025
〈お問合せ〉
認定特定非営利活動法人 森ノオト
ファクトリー事業部(担当:齋藤)
【この活動は、地球環境基金の助成を受けています】
