2023年4月から、地球環境基金の助成を受け活動している「出口を広げるプロジェクト」。
モニター団体への素材提供と並行して、スタッフが他の団体の取り組みを実際に見て、話して学ぶ視察にも行かせていただきました。
今回伺ったのは、千葉県の四街道市にある「ひみつのおしゃれ工房」
住宅街の中にあるそこは、本当に、ドアを入った途端に秘密基地に直結するような、とてもワクワクする空間でした。
ひみつのおしゃれ工房は、元々服飾業界の会社員として縫製の仕事をしていた佐々木和枝さんが1人で立ち上げた、
サンプルや小ロット生産を中心に制作をしている縫製工房です。
制作を請け負っている仕事は、雑誌をめくればいたるところに出てくるような、業界の第一線で活躍する大手ブランドやメーカーのものを中心に
パリコレクションや東京コレクションなど有名なファッションショーで使う服や、CM、アーティストの衣装などを制作しています。
縫製をしているのは、子育てや介護、障がい、病気、高齢など様々な理由で外で働くことができない地域の方々です。
実は、めぐる布市の前身である「AppliQué」も、元々は、地域の子育て中のお母さんたちに仕事を作りたい、という思いが根底にありました。
現在のめぐる布市でも、そこは変わらず。
地域に仕事や仲間を作りたい、という思いで、布の仕分けや準備、縫製スタッフを募集し、仕事を生み出すようにしています。
その中で、同じものを同じ仕様で作るということの難しさにちょうど直面していたこともあり、何かヒントが得られればと、今回の視察をとても楽しみにしていました。
ひみつのおしゃれ工房は、メーカーなどからの委託制作が収入のメインですが、それ以外に、地域から届く古着の販売や、古着のリメイク、古着をカットしてつなぎ合わせるリメイクファブリック制作など、さまざま。
それら佐々木さんの今の活動の根底には、縫製の現場を変えたいという強い思いがあります。
佐々木さんは、会社員時代、中国の縫製工場で洋服を作る事業に携わっていたときに、10代の子が住みこみで働き、部屋を出たらすぐに工場という環境で、日本の服を作っているという現場を目の当たりにし衝撃を受けました。
子どもの頃から洋服作りが好きで、好きな洋服作りの仕事についていたものの、やればやるほどその環境を生み出すことに自分が加担しているように感じ、「好きな洋服作りを極めて、人の役に立つ何かをしたい」と、会社を辞め、自分の住む地域に工房を作りました。
その後、地域で活動をする中で、外に出て働きづらい人たちがたくさんいることを知り、その人たちに内職として縫製工程にある簡単な作業をお願いするという取り組みを始めました。
古着を取り入れているのは、元々佐々木さんが古着が好きだったこともあり、地域に眠っている着られなくなった服を回収して制作することで、長距離輸送もなくなりCO₂削減にもつながるほか、内職の方々に、いきなりブランド品の縫製では負担になるので、縫製練習の場という意味合いもあるそう。
さまざまなハギレを組み合わせて布として制作しているパッチワーク布。
色々な素材を組み合わせたり、形を変えることでさまざまなアレンジができ、「かわいい!」「これやってみたい!」とスタッフも大盛り上がり。
ハギレを組み合わせたアクセサリー。ボタンやリボンなど、布市の工房にもありそうな素材が活用されていました。
単にものを作るだけではなく、それがどういうものを使い、どういう人たちが作っているのか、背景をきちんと商品と一緒に届けることで、伝わり方が全く違うのだということを感じました。
今、縫製スタッフはおよそ20名。
さまざまな背景や経験、そして縫製に関してはほぼ素人という方が多い中、どうやって同じクオリティのものを作れるのか、そこが私はとても気になりました。
・仕事を細分化して、それぞれの状況やスキルに合わせて仕事を依頼できるようにすること
・直接会って作業内容を丁寧に説明すること
・プロの縫製師が検品、難しい作業は必ずプロが対応
・受注は小口のみにして生産量を抑え、品質管理を徹底する
縫製工程の中には、特別なスキルがなくてもできる作業がたくさんあります。
縫い直しのための解き、アイロンがけ・畳んで袋にしまうなど。
1人で全部作り上げるのではなく、工程を分けることで、仕事を依頼できる幅が広がります。
さらに、商品ごとの仕様書が、それにかかる工程、作業時間を全て自分でやってみて割り出し、細かく割り出されていたこと。
全ての細かな作業に一円単位で金額がつけられています。
そこには、佐々木さんが、サンプル縫製といった、縫製の工程全体を見通す仕事をしてきた経験がびっちりと詰まっていました。
その上で、これまで海外で制作する仕組みになっていたものを日本でやろうとした時には、メーカー側の意識改革も必要。
海外の縫製工場の実情を話した上で、今まで海外で生産する仕組みになっていたものを日本でやるためには、まず職人さんを育てなければならないこと、
一から仕組みを作るため、問題が多々おきるけど…と、きちんと説明をして理解を得ておくことがとても大切と話してくださいました。
今は、運営スタッフも2名に増えたそうですが、それまでほぼ1人でこの仕組みを作ってきたと聞き、とても驚きました。
私たちは、今運営が2名、現場スタッフ4名、さらにボランティアスタッフが20名弱。
もっとできることがある、と思わざるをえませんでした。
工房の中は、あらゆる素材がたくさんあるのは、布市の工房と同じでしたが、とても整理が行き届いているように感じました。
スケジュールは、大きなホワイトボードで一目でわかるように管理され、さまざまな細かいものがきちんとファイリングされています。
「整理整頓をどう作るかで流れが変わる」
私たちが、今は余裕がないから…と日々の業務に追われて後回しにしていたところが、実は一番遠回りになっていたのだなということに気づかせていただけたこともとても学びになりました。
後日、スタッフから届いた感想です。
「裏でものをしっかり管理、整理できていないと、モノがめぐらないので、誰がきてもわかりやすい仕組みやモノの流れ、場所にしていきたいと思った」
「布から素材にする発想がおもしろい。単体では販売しづらい布も新たに活かす方法として取り入れてみたい」
「子育てや介護、障がい、病気、高齢などの他に、不登校の子どもたちへの居場所づくりにもなっていて、小さな工房で社会課題に取り組んでいるのが素晴らしいと思った」
「勉強になったね!」で終わりではなく、このつながりを大切にし、今後に活かしていきたい、と思える視察となりました。
ひみつのおしゃれ工房
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★めぐる布市出口を広げるプロジェクト★
【詳細はこちら】
https://applique.morinooto.jp/works/hirogeruproject_2.html
【映像はこちら】
https://youtu.be/mhZEpyQ3OmQ
※この出口を広げるプロジェクトは、地球環境基金の助成を受けて活動しています