project -出口をひろげる-

「めぐる布市」出口を広げるプロジェクト③ みんなが幸せであるために 「ままリズム ぱぱリズム」(横浜市青葉区)

布の循環量を増やし、リユース品を活用する人を増やすために始まった「めぐる布市」出口を広げるプロジェクト。今回ご紹介するのは横浜市青葉区を中心に活動されている「ままリズムぱぱリズム」さん。地域の方々との繋がりづくりや多世代交流、子育て支援を目的に、0歳からシニアの方までどなたでも参加できる広場を開催しています。

講師群が元劇団四季のメンバーやダンサーだったりとエンターテイメント性も高く、スタッフには子育て支援員や保育士がいるという安心感。そして様々な遊びや体験ができ、作った作品はみんなで飾って、イベントなどで大きな展示にすることも。オンラインクラスや千葉支部も増え、年々活動を広げているパワフルで活気あふれる団体です。

 

孤立しない子育て、地域に根ざした子育てを目的に、2017年から活動を始めた「ままリズムぱぱリズム」さん。子育てをするお母さんお父さんが少しでもリラックスして子どもと触れ合いながら楽しい時間を過ごせる場所を作りたいとの想いから、親子ヨガやリズムエクササイズクラスを開設したことが始まりでした。

産後のお母さん達の居場所作り、子連れで気軽に参加できる場として、フラダンスや親子ダンス、音楽ライブともコラボするようになり、2020年からは地域・多世代交流子育て広場を開設し、季節の行事を地域の方々と共に共催するなど、少しずつ活動の場を広げてきました。

ヨガやダンスが活動の中心でしたが、活動時にアートワークタイムも設けるようになり、はじめは絵具や折り紙、模造紙やシールなどお店で購入したものを使っていましたが、2年ほど前からは環境に配慮して、廃材や新聞紙を使って工作をしたり、エコバックを作ったり、SDGsを取り入れた創作活動にも力を入れ始めたました。

 

今回この出口プロジェクトのモニター募集記事がたまたまSNSで目にとまり、アートによるアップサイクルとしてリユース布を使った創作ができることに加え、子ども達にもっと色々な素材を使ってもらいたい、様々な種類の素材があることでより豊かな創作活動になるのでは、と思ったことが応募するきっかけとなったそうです。

「実際に身近な物、不要になった物を使って作品に魂を吹き込み自分の宝物になる物、簡単に今後もいつでも作れるものを作りたい」と話すのは「ままリズムぱぱリズム」代表の滝口美穂子さん。

滝口さんはモニター応募の時点で、布や副資材の活用方法をクラスやイベント用に具体的に考えており、使いたいもの、必要なものが明確で、ままリズムパパリズムの活動に対する熱意がとてもよく伝わってきました。

10月初旬、実際工房に足を運んでいただき、ハロウィンやクリスマスなど季節のイベントで行う工作やワークショップ用に、ダンス発表会やパフォーマンス用の衣装用に、ヨガやダンス、多世代交流、子育て支援クラス用に、様々な柄や色のハギレ布、毛糸や刺繍糸、リボン、テープ、紐、それからビーズなど、話し合いながら色々な素材を箱に詰め合わせていきました。

お渡しした素材がままリズムぱぱリズムさんの活動と掛け合わさることで、どのように変化を遂げるのか、どういう広がりが生まれていくのか、ワクワクした気持ちで寄付布ボックスをお渡ししました。

 

 

お渡ししてすぐハロウィンイベントに活用されたとのことで、写真を送っていただきました。多世代交流のクラスで開催されたハロウィン運動会。小さな箱のバスの装飾にハギレをつけたことで立体感が出て温かみのある仕上がりになり、運動会でも大活躍だったとか。

ヨガやダンスのクラスでは身体を動かした後にハロウィンバッグアートを製作。子どもたちが自分で切り貼りしたり、小さいお子さんは両面テープで貼り付けたり。様々な素材を使うことができて、創造が深まったそうです。皆さんの発想力で楽しく豊かに活用されていました。

 

取材に伺ったのは1月末。「手作りオーナメント作り&ヨガストレッチワークショップ」で寄付布を活用するとのことで、会場のもえぎ野地域ケアプラザへ向かいました。大人のみでも親子参加もどちらでもOK、同室で保育付き、子どもは無料ということもあり、小さいお子さん連れのお母さんがたくさん参加されていました。

まずは手遊びヨガ、ストレッチで身体を整えるところからスタート。ヨガ講師RUMIEさんのプログラムは小さなお子さんを抱っこしながらでもお母さんたちが身体を動かせるようなものばかり。

身体を少し動かすだけでも、気持ちを切り替えられたり、リフレッシュできるもの。アートワークの前にヨガやダンスを取り入れているところがままリズムぱぱリズムさん独自のやり方で、心身ともに健康であることを大切にされているのだなと思いました。

 

身体を動かして一息ついた後、いよいよワークショップの始まりです。保育スタッフが隣でお子さんたちと一緒に遊んでくれるので、お母さんたちはしばし自分の時間を持つことができます。

保育スタッフにはかつて平日の親子クラスに通っていたというお母さんも。お子さんが入園したこともあり、今回初めて保育スタッフとして参加したそうです。今でも休日のイベントには親子で参加しているとのこと。参加者が支援者にもなって活動を支えていることも、ままリズムぱぱリズムさんの活動の輪がどんどん広がっている理由のひとつなのかもしれません。

「自分のペースでものを作ることで、少しでもママたちのストレス緩和になったり、心のケアになれば。そして周りの人たちとお話ししながら作ることで、ママたちの交流の場になれたら」と滝口さん。活動に対する熱い想いを感じました。

 

この日のワークショップはバレンタインデーが近かったこともあり、針を使わないハートのオーナメント作りでした。講師は身近なものをクリエイティブに扱う小玉マヤ先生。ハートの形の発泡スチロールに、楊枝とボンドを使って小さくカットされたハギレを刺して付けていくという簡単な作業で、可愛いオーナメントが作れるというこのワークショップ。材料のハギレこそがお渡しした寄付布の一部でした。この日のために小さく丁寧にカットし、赤系と青系に色分けして準備したそうです。寄付布だからこそ、様々な柄や色のものを少しずつ使うことができます。

 

お友達同士で参加されている方もいて、作りながら話が弾みます。お母さんと一緒にいたくて、ワークショップのテーブルにやってきたお子さんは、一緒に作る始めたり、赤ちゃんを抱っこしながら作るお母さんの姿も。

今回ままリズムぱぱリズムさんのクラスが3度目の参加というママさんは、子どもを見てもらいながら自分の時間が取れるので、リフレッシュになるとのことで、にこやかに作ることを楽しんでいました。

お子さんが小さくて普段なかなか自分の時間が取れないお母さんたちも、ほんのひと時でも子育て以外の何かに集中する時間があるだけで、気分転換になったり、息抜きになるからこそ、特に乳幼児を育てるお母さんたちにとっては救いの場になっているように思いました。

 

集中して作業を続けていると、どうしても肩に力が入ったり、猫背になってしまったりするものですが、それを防ぐべくワークショップの途中にストレッチタイムが設けられていました。肩を動かしたり背中を伸ばしたり。ほんのちょっとでもこういう時間を挟むことでまた作業に戻っても集中できるので、日常でもこういったことが実は大切なのかもしれません。

 

作り始めて1時間、最後にリボンをつけて皆さんの作品が完成しました!皆さんの表情は達成感にあふれていて、とてもいい笑顔。お母さんたちの笑顔でいることは少なからず子どもたちにも伝染します。だからこそ育児中のお母さんが心身ともに元気で健康であることはとても大切なことなのだなと改めて思いました。

 

ヨガやダンスによって産後、育児中の身体と心のケアをしながら育児の孤立化を防ぎ、メンテナンスを行いながら健康促進を促し、産後育児うつや児童虐待の予防になるように。そして多世代が楽しめるプログラムで楽しい時間を共に過ごしながら、一緒に身体を動かし、未来ある明日へ繋げていく。

ままリズムぱぱリズムさんの目指す未来は、地球、赤ちゃん、子どもたち、ママ、パパ、みんなが幸せである世界。それは決して難しいことではなく、まわりの人たちを少しずつ笑顔にしていくことがそんな未来に繋がっていくのだと思わされた訪問でした。

全国からめぐる布市の工房に届いた寄付布が、縁があってままリズムぱぱリズムさんの元へ渡り、まわりまわってお母さんたちの笑顔へと繋がっている。それはまさに「めぐる布市」の思い描く理想のかたちそのものでした。

 

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★めぐる布市出口を広げるプロジェクト★

 

【詳細はこちら】
https://applique.morinooto.jp/works/hirogeruproject_2.html

【映像はこちら】
https://youtu.be/mhZEpyQ3OmQ

【これまでに取材した記事はこちら】

▶ つながる手と手で生まれる染織「クラフト工房 La Mano」(町田市金井)
https://applique.morinooto.jp/project/lamano.html

▶みんなが平等に、好きなものを作ることができる環境を 「荏田東第一小学校 家庭科クラブ」(横浜市都筑区)
https://applique.morinooto.jp/project/edahigashi.html

 

※この出口を広げるプロジェクトは、地球環境基金の助成を受けて活動しています

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