
布の循環量を増やし、リユース品を活用する人を増やすため、2023年から地球環境基金の助成を受け始まった「めぐる布市」出口を広げるプロジェクト。
3年目となる2025年度は、助成3年目の節目の年となった2025年度は、モニター団体での活用事例の発信、「めぐるなかま」としての福祉作業所や若者支援団体との作業連携をさらに進め、関わる人を増やしてきました。
また今年度も引き続きモニター募集を行い、地域の福祉団体や、居場所づくりのコミュニティなど、新規で18団体にご参加いただきました。
この1年を振り返り、2025年度の活動報告と、ご協力いただいた団体をご紹介したいと思います。
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今後、めぐる布市への視察・研修プログラムを体系化し、各地で同様の取り組みを立ち上げたい団体・個人を支援するため、「めぐる布市」のコンセプトブックを制作しました。

毎年開催している象の鼻テラスに加え、髙島屋横浜店やアートフォーラム横浜など外部会場での開催機会を広げ、めぐる布市の認知向上と循環の裾野拡張につなげました。

ハギレや端材の活用による循環の出口を広げるとともに、福祉との連携による持続可能な制作体制を構築することを目的に、昨年度より継続している委託制作を当初1箇所から5箇所へと展開しました。
パッチワーク用のカット布(写真左)を作ってくださっている福祉作業所は、
生活介護事業所 ミコミコ(横浜市旭区)
社会福祉法人 紡 夏の空 (横浜市旭区)
NPO法人 ぷかぷか (横浜市緑区)
社会福祉法人 グリーン (横浜市青葉区)
布や端材をセットにした「つめつめセット」(写真右)の制作やワークショップの素材作りを請け負ってくださったのは、
よこはま北部ユースプラザ(横浜市都筑区)です。
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横浜市都筑区にある港北幼稚園のサークル団体です。
想像以上の素材量に驚きつつ、子ども向け制作のアイデアが広がりました。幼稚園フェスで毛糸やビーズを使った商品販売や、各学年の出し物(海賊船や衣装制作)に活用。園外や姉妹園WSにも展開しました。素材を自由に使える環境がサークル活動を活性化し、作品の幅とものづくりの楽しさが大きく広がりました。

横浜市港北区にある新羽中学校では、図書館活動での活用です。
届いた資材を教職員に紹介すると、皆が目を輝かせて手に取り、イベントへの期待が高まりました。織りによるコースター作りに活用し、色とりどりの毛糸や裂き布のおかげで見栄えのする準備ができました。5日間のワークショップは図書館に希望者が押し寄せる盛況ぶりで、ものづくりや手仕事への関心の高さを実感しました。

「ウェルカムベビープロジェクト」は、まち全体で赤ちゃんの誕生をお祝いし、子育てを応援できる社会になることを目指している団体です。戸塚支部は、横浜市戸塚区において、2016年に地域と企業から「出産祝い」をお送りすることからスタートしました。
多様な布やひもなどの資材を活用し、出産祝いに添える巾着を地域でつくる「巾着おくりプロジェクト」を開始。試作品づくりやキット準備、みんなで縫う会などを通じて多世代が関わり、交流の場が生まれました。余った資材はイベント装飾や地域団体の活動にも活用され、布と人のつながりが広がっています。

2025年4月から横浜市青葉区で始まった「こども手しごとカフェ」。子どもたちと一緒に初めての手芸や、調理の体験をする場を開いている団体です。
見本を示さず自由制作に取り組みました。子どもたちは友だちの作品を参考にしながらも、自分らしさを出そうと工夫し、とても個性的な作品が生まれました。好きなものを選び形にする体験が、「自分は自分でいい」と思える力につながっていると感じます。想像以上に多くのフェルトを活用でき、材料から活動が広がったことも印象的でした。今後は入学グッズづくりにも取り組みます。
https://applique.morinooto.jp/project/kodomoteshigoto.html

「つづき くるりん環」は、環境に関する素朴な疑問や気づきを共有し、都筑で人とつながり、モノ・人・知識などあらゆる資源を「循環できる地域」を目指して2025年より活動している団体です。
想像以上に可愛い柄や色のハギレが届き、制作意欲が高まりました。学童でコースターWSや野外イベントを実施し、フェルトやビーズ、ビー玉も活用。初めて縫い物に挑戦する子や試行錯誤する子など、多様な姿が印象的でした。今後はブンブンゴマやミサンガWS、小学校の総合授業でのアップサイクルにも展開予定。学校との連携で循環の出口が広がると感じています。
https://applique.morinooto.jp/project/kururinwa.html

横浜市を中心に、理科のおもしろさや、ものごとを深く考える楽しさを大切に活動をしている理科クラブ。
学童保育でお正月飾りとして糸かけ曼荼羅を制作しました。子どもたちは多彩な糸から3色を選び、組み合わせで雰囲気が大きく変わる面白さを体感。保護者や外国人スタッフにも好評で、海外の家族への贈り物にもなりました。譲渡糸は企業からの寄付廃材を組み合わせた企画として環境教育プログラムへ発展予定。日常工作にも継続活用しています。
https://applique.morinooto.jp/project/rikaclub.html

「レンズ」は、幼児から小学生を対象にした「クリエイティブラーニングスクール」として2025年4月、東京都世田谷区池尻でスタートしました。
提供された素材は、子どもたちの「まち」のクラスで行われた神輿づくりにも活用されました。試行錯誤しながら素材を集めて形にする過程そのものを楽しむ姿がありました。子どもたちにとってリユースは特別なことではなく、自然に大切に使うもの。素材の背景や物語まで想像できる宝物だと感じました。
https://applique.morinooto.jp/project/lens.html

横浜市青葉区美しが丘を拠点に、月2回集まり布の作品作りをしながら、バザーに出品し全額寄付をすつという活動を14年間続けている団体です。
多様な素材が届き、何に使えるかメンバーで話し合いながら制作を楽しみました。看板娘の「結ちゃん人形」の髪の毛や洋服のパーツ、靴づくりに活用し、柄や素材の組み合わせを皆で工夫しました。今後も小物づくりなどに広げながら、いただいた素材を無駄なく生かしていきたいと考えています。

横浜市港北区で、精神的な障害を抱えながら、地域の中で生活している人たちをサポートしている団体です。
刺繍バッグ制作や自由製作プログラムでの個人作品づくりに活用しました。これまで古布や柄物のはぎれが多く、素材選びに制限がありましたが、今回はシンプルな布を使えたことで、利用者さん一人ひとりの刺繍表現が際立つ作品づくりにつながりました。素材が変わることで、発想や意欲にも広がりが生まれたと感じています。

埼玉県飯能市にある障害者生活介護事業所「和みの羽」。
布やボタン、刺繍糸、リボン、フェルトなどを活用し、利用者とともにクリスマスリースやオーナメント、シェイカー楽器を制作しました。素材を選ぶ時間も交流の場となり、自立支援課題ではフェルトの靴下を作り洗濯物を干す練習にも活用。リユース素材を通して創作と学びの活動が広がりました。

「ごぼうハウス」は横浜市都筑区にある障害のある方の日中の活動をサポートする地域活動支援センターです。
浴衣や着物の古布は、さをり織り用に裂いて素材として活用し、毛糸は色合わせを楽しみながらアクリルたわしづくりに使用しました。さらに古布を使い、ごぼうハウスのイメージを描いた店頭用の旗づくりにも展開。メンバーがアイデアを出し合いながら制作を進め、素材を生かした創作活動が広がりました。
https://applique.morinooto.jp/project/gobou.html

昨年秋に横浜市中区にオープンしたBankPark YOKOHAMA。
提供された布や端材は、開館記念にエントランスに飾られたキメコミアート作家のイワミズアサコさんの展示作品の制作素材として活用されました。色とりどりの布をコラージュのように組み合わせ、都市の風景や空間を表現する大型作品に展開。リユース素材ならではの質感や色彩が作品の魅力を高め、来場者の印象に残る空間づくりに生かされました。
https://applique.morinooto.jp/news/bankpark-yokohama.html

「編み物コラージュクラブ」は、アート作品やオリジナル商品を発信するためのギャラリー「デザインフェスタギャラリー原宿」で行われている編み物のクラブです。
毛糸を使ったストリートアート「ヤーンボミング」に活用。参加者が編んだ小さなパーツをコラージュし、原宿のデザインフェスタギャラリー内の木々を装飾しました。毛糸だけでなくチャックやベルトなどの副資材も作品に取り入れ、初心者には編み針などの道具も配布。多様な素材が創作と交流のきっかけになりました。
https://applique.morinooto.jp/project/designfesta.html

宮崎県を拠点に活動している「劇団おやま」。
開封直後は仕分けの手間に不安もありましたが、布を広げるうちに舞台や人形のイメージが次々と湧き、創作意欲に変わりました。黒布は人形劇の蹴込みや暗幕に、他の布は人形制作に活用予定です。応援メンバーも加わりアイデアが広がっています。白布で影絵にも挑戦したいと考え、夏のフェスで他団体とも活用を検討しています。

「おどのま」は振付家のはらだまほさんが中心となって活動するアート集団で、スペシャルニーズ(発達上の特性などにより日常生活や教育において特別な配慮が必要)の子どもたちに向けた舞台芸術を創作するためのリサーチ企画「アートと子ども スペシャルニーズ編」を2年計画で進めています。
コロナ禍以後は特に「対話・探究・交流の場」をオンサイト/オンラインの双方で創出しています。多様なテクスチャー素材を活用し、スペシャルニーズの子どもたちの感覚遊び用の小道具やおもちゃを制作。療育現場のリサーチやダンスWSに展開しました。素材から発想が広がり、子どもたちが触れて反応する姿も印象的でした。今後は影絵劇や、藍をテーマに染めた舞台美術としての発表も構想しています。
https://applique.morinooto.jp/project/odonoma.html

脚本家の港岳彦氏が立ち上げた劇団「ヒコ・カンパニー」。
届いた布の量とヴァリエーションの豊かさに驚き、舞台制作の可能性が大きく広がりました。2026年3月末の公演では、イエスが生きていた時代を舞台にした衣装や舞台美術、メインビジュアル撮影に活用。衣装部や俳優の創作意欲も高まり、古布が表現の幅を広げる素材であることを実感しました。次回6月の公演でも活用予定です。

アップサイクル生地を使ったワークショップを開催している団体です。
多彩な資材の中には懐かしさを感じる柄もあり、制作意欲が高まりました。キャンドルナイトでチャリティーバザーを行い、ポーチやキーホルダー、クッションを制作。ハギレはファブリックツリーのWSに活用しました。フォロワーの声を反映して制作し、売上は成育医療研究センターへ寄付。活動の背景にも関心が広がりました。

ワークショップや雑貨販売の売り上げを犬の保護活動に寄付している団体です。
想像以上にたくさんの資材が届き、驚きとワクワクで思わず笑顔になりました。ハギレブローチのワークショップや、リメイク作品のマルシェ販売、子ども向けWSを実施。子どもでも作れる形を考え、試作を重ねる時間も楽しく、新たな企画の検討にもつながっています。資材確保が難しい中で活動の幅が広がりました。
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2022 2023 2024 2025
6400kg ➡ 9400㎏ ➡12,600㎏ ➡15,000㎏ 次の使い手へめぐった布の量
3000人 ➡ 8000人 ➡ 8000人 ➡ 9000人 参加・来場者の広がり
・モニター 43団体(3年間累計)
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寄付のお申し出が増え続ける一方で、保管スペースや人員・資金が限られていることから、受け入れを制限せざるを得ない状況が続いていましたが、
2023年から「地球環境基金の助成を受け、「出口を広げるプロジェクト」がはじまりました。
2024年度は、「ハギレ活用コンテスト」と「めぐるなかま」という二つの新たな活動がスタート。
3年目の2025年度は、新たにアート関連や劇団など、クリエイティブ団体のモニター参加が増え、布の使い道や活用の幅がより一層広がり、まだまだ布の可能性が眠っていると感じました。
また、イベント出展が増えたことで、布の循環量が劇的に増加したことも大きな収穫でした。
この4年でイベントを含む布市の参加・来場者は約3倍に増え、めぐった布の量は約2.5倍になり、出口プロジェクトを含むめぐる布市の活動が、実を結んでいることを改めて実感しています。
今後は各地で「めぐる布市」と同様の活動をしていきたいという団体の支援という新たな取り組みも始まります。
「捨てる」と「つくる」をつなぐ循環の場が各地に広がり、この仕組みがそれぞれの土地に根付いて育っていくことを願って。
来年度も「めぐる布市」の輪をもっと大きなものにするべく、私たちの活動は続いていきます。
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2023年度の出口プロジェクト
https://applique.morinooto.jp/project/deguchimatome2023.html
2024年度の出口プロジェクト
https://applique.morinooto.jp/project/deguchimatome2024.htmll
※この出口を広げるプロジェクトは、地球環境基金の助成を受けて活動しています